時計じかけのオレンジ

時計のじかけのオレンジ

監督: スタンリー・キューブリック Stanley Kubrick 1972年
音楽: ウォルター・カーロス Walter Carlos
出演: マルコム・マクダウェル Malcolm McDowell アレックス

これは最近初めて見た映画です。
良いらしい、と噂は聞いていたものの、なかなか見る機会が無くて最近とても暇なので
借りてみました。
そして、借りてから返すまで毎日見てしまった…
ようするにハマりました。
何回見ても飽きないんです、むしろ毎回発見があり、謎が解けていく。
時計じかけのオレンジ」とは、イギリスの古い言い回しのようです。
「時計仕掛けのようなメカニズム」と「オレンジのようなみずみずしさ」という、
矛盾した要素を抱え込んだ人間のことを指すようです。
つまり、管理体制下に生きる人間を指します。
このお話に実にぴったり。
主人公アレックスの性格が私的にヒット。
あんなに夜はやんちゃなのに、家に帰ってベートーベンを聴き、
引き出しの中にはかわいいペットの蛇のバジルを飼っているのです。
最初のスピード感のある日常の行動(暴力シーン?)から、アレックスが逮捕されるとゆっくり物語が進んで、だんだんよく考えて見ていないとあれ?ってなってしまいます。
アレックスたちが使う英語とロシア語を混ぜた不思議な言葉も物語をより難解にしていると思います。
だから1回目ではラストが全然理解できなかったけど、2回目からなるほどーってなっていきました。
そして、なんと言ってもBGMが魅力!!
サントラ盤も買ってしまいました。
クラシックの名曲たちを、ウォルター・カーロスが電子音を混ぜて、今で言うリミックスをしているわけです。
ロッシーニの「ウィリアム・テル」の早い調子に合わせてアレックスたちがセックスパーティーをするシーンはコメディタッチになってるし、アレックスが仲間を鎮圧するシーンはとても効果的にロッシーニの「泥棒かささぎ」が使われています。
そもそも、アレックスがベートーベンを「ルドウィーク・ヴァン」と言って尊敬しています。
それは原作からそのような設定になっていたらしいので、ベートーベンを効果的に使ったキューブリックはすごいと思います。
ある小説家の妻を強姦するシーンでアレックスが唄う「雨に唄えば」はアレックスが心から暴力を楽しんでいる事がわかります。
ラストの政府からの第九のプレゼントから、「完全に治ったね」と劇が終わり、
エンドロールでジーン・ケリーの「雨に唄えば」が流れるところもお気に入りです。
主人公の数奇な人生をたった2時間しか見ていないのに「雨に唄えば」を聞くとなぜかあの小説家の妻を強姦した夜はとても過去のように思える。
キューブリック作品でクラシックが使われると全く別のものになってしまう。
まるで映画のために作られたBGMのようです。